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“テレワーク時代”に考えるこれからの企業のあり方

2020.05.21 更新

全国の緊急事態宣言が延期され、外出自粛や休業要請、大規模イベントの中止、学校の休校措置など新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い社会的・経済的影響が大きくなってきています。

現在、企業は事業運営や事業継続、従業員の健康維持にとって重大かつ緊急な意思決定を下す局面を迎え、テレワーク導入など業務のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)を推進しています。

コロナ禍では、何が起きるか予測できない社会において時代に合わせてBCP(※事業継続計画)をアップデートする必要性が高まってきているのです。

今回の記事では、“テレワーク時代”に考えるこれからの企業のあり方について考えていきます。

※BCP(事業継続計画)とは
企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続や早期復旧するための方針・体制・手順を示した計画のこと。

テレワークが個人・企業にもたらす影響

従来の自然災害に加えて、感染症リスクも高まるなか、いつどこで事業継続が難しくなるかは誰も正確な予測はできません。
しかし、起こり得る事態を可能な限り予測し備えておくこと。
そして、今回の新型コロナウイルスのようにBCPで想定していない事態が発生した場合に、BCPサイクルの運用改善体制が確立できていることで、顧客からの信用を維持し市場関係者からの高い評価にもつながります。
事業継続は、雇用継続はもちろんのこと顧客満足に直結し社会にとって大きな影響を与えるのです。

中でも事業継続の手段として、今やテレワークは欠かせません。
以前からも働き方改革の文脈で、テレワークやワーケーションなどオフィス以外の場所で普段と変わりなく業務を遂行できる仕組みづくりの重要性は説かれていました。

しかし今回、より一層テレワークやDX推進の緊急度と重要度が上がり、現在は緊急事態宣言下で取り急ぎテレワークを導入した企業も少なくありません。
今後、いかなる災害が発生した際でもテレワーク体制を整えておくことにより、事業が継続できる可能性が高まります。

テレワークが導入されることによって、一日のうちで出社が占めていた時間の一部が、社会に向くことになります。
通勤時間はなくなり、その分自己研鑽や趣味、睡眠に当てられます。
そして、お昼は自宅で自炊が可能となり、生活の質も向上。

しかし、直接コミュニケーションが取りづらくなることにより、信頼関係の構築に時間を要したり、仕事への情熱やプロセスが見えづらくなるため、今まで以上に否応なく仕事の成果が重要視されます。

会社から社会へ。
社会のなかでの自分の価値を再認識したり再考するきっかけができることで、自身の働き方を見つめ直す人が増えています。
社会のなかでの会社、会社のなかでの自分の存在意義を考える機会の創出により、時代に合わせた企業のあり方を再考する必要があるのです。

個人の働き方、企業のあり方の変化

ここ数年の時代の流れは凄まじく、終身雇用が通例とされてきた日本企業が副業解禁や働き方改革に乗り出しています。
中でも一つの企業に留まらず複数の企業ではたらく副業・兼業への関心が著しく高まっています。
副業・兼業は、人口減少社会の中で個人の知識やスキル・ネットワーク・資産・強みなどをシェアしてはたらく新しい働き方としても注目されています。
日本古来から続く百の仕事したり、百の仕事を創る“百姓”がまさに考え方としては近いですね。

また、コロナ禍で産業構造が急速に変化する中で、既存事業の再編や新規事業の開発などが進んでおり、必要な時に必要な人材を外部から採用、プロジェクトベースで必要なスキルを持ち合わせた人材を確保する目的での外部人材活用も同時に急速に進んでいるのです。

個人の働き方や考え方が変化するに伴い、企業は自社の従業員の働く環境や外部人材を活用した事業継続についても再考する時期に来ています。

例えば、今まで従業員全員が働けるオフィスを用意していたのであれば、テレワークの普及によりオフィス縮小やサテライトオフィス・ワーケーション制度の導入を検討開始したり、今までのBPOのあり方はテレワークを前提としたBPOに変換することで有事のリスクヘッジになります。

また、テレワークを導入することで「どこでも働ける」ということが価値となり、ワーケーション制度や複数のサテライトオフィスの中から「自然・食・観光」など自分の好きなテーマを選択して働けることが仕事を選ぶ一つの基準になるかもしれません。

コロナ禍で一気に進むDXによって、今後の社会では、世界中どこからでも誰でも採用が可能となり、今まで転職市場に出てきていないフリーランスなどの潜在労働市場にもアプローチが可能となります。
リモートワーカーにやさしいヘルスケアやメンタルケア、福利厚生などのリモートワーカーフレンドリーな施策を検討開始する企業もではじめています。
人材育成の面では研修自体がオンライン化し、自社の研修コンテンツのみならず世界中の企業や大学のオンラインコンテンツが活用でき、学びは無限大です。

一方でオンライン化、テレワーク導入の先には、管理の基準が勤務時間ではなく成果へと変化するでしょう。フリーランスなどの外部人材活用も促進され、可視化された仕事の成果が評価基準の一つとなります。

個人の働き方や生き方の変化に寄り添って、企業も従来のあり方を変え、制度やBCPをアップデートしていく必要があるのです。
テレワーク時代の事業継続にとって重要になってくることは快適なテレワーク環境整備と用途別分散型オフィス、そして時代に合わせた人材育成のあり方や福利厚生を充実させることが「選ばれる企業」への第一歩かもしれません。

 

仕事がスポーツに、企業がチームになる時代

今まで以上に一人一人の生産性や成果が重要視される時代が到来し、企業が持続可能な経営や事業継続を行うために大切なことは、時代の変化に柔軟にそしてスピーディーに対応するということです。そして、いかなる有事にも耐えられるように準備をしましょう。

時間管理されてきた仕事は、成果管理に。

個人にとって、仕事はスポーツになる時代がやってきました。
結果がすべてではないですが、可視化された成果で評価を受け、企業というチームのために自分自身がどのように貢献できるかを常に考え、自ら仕事を創り、時にはチームのサポートにまわる。
テレワーク時代になるからこそ、まさに働くの語源である「傍を楽(はたをらく)」にする考え方、傍の人を楽しませる、傍の人を楽にする思いやりを持った働き方が重要視させるのではないでしょうか。

そして、チームの経営者は、選手(従業員)が最高のパフォーマンスを発揮できるような環境整備や安心できる福利厚生、常日頃BCPをアップデートし、自らのチームに必要な助っ人選手(外部人材)を獲得し、事業継続する必要があります。
チームに対して理念・ビジョンを掲げ、少し前に流行したONE TEAMで激動の社会と戦っていくのです。

日本では昔から、向こう三軒両隣りやおすそわけなど周りの人を思いやる文化が残っています。
テクノロジーの発展によってオンライン化が進むにあったても、大切なことは変わらずに、オンラインでもつながりを保ち、思いやりを持ちながらひとつのチームとなって社会を共創していくことが、テレワーク時代の企業のあり方を考える上でも、これからの社会に必要な企業となり、持続可能な経営(SDGs経営)に繋がる第一歩かもしれません。

株式会社パソナJOB HUB 事業統括部長 加藤遼

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