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複業人材の継続的な伴走支援で、中長期の経営課題を解決【西部木工 西岡さん】

2024.04.08 更新

令和3年度徳島県「複業人材活用推進業務※」事例のご紹介

当時、地域事業者としてご参画いただいた西部木工西岡さんが抱えていた経営課題に対し、都市部複業人材の伴走支援により課題解決に至ったプロジェクト事例を、西岡さんへのインタビューと共にご紹介します。

※徳島県から受託・実施した、徳島県内企業と都市部複業⼈材の複業マッチングプロジェクトです。企業が抱える経営課題および専⾨知識やノウハウが必要となる事業課題に対し、県外の⼈材と協力して課題解決に取り組む事業です。

 

1 販路拡大と人材育成への課題感から参加した令和3年度実施のプロジェクト

<はじめに、令和3年度実施のプロジェクトへの参加や複業人材を活用するに至った経緯について教えてください。>

販路拡大と職人の高齢化に伴う若手人材の育成が経営課題で、その解決に繋がるヒントが得られればと考えてプロジェクトに参加しました。

以前から、県外企業の方たちが徳島を訪れた際に、当社の工場を見学していただく機会があり、木材の加工工程や職人の技術を見て褒めていただくと、職人のモチベーション向上につながるため、当社にお越しいただくことは大歓迎でした。

2022年2月に実施された現地フィールドワークでは、11名の複業人材に当社にお越しいただきました。そこから7名に提案書を提出していただき、4名と面談をして、最終的に2名とマッチングしました。

<実際に、複業人材の方はどのような関わり方をしているのでしょうか?>

月に1、2回程度オンラインで打ち合わせをしていて、数ヶ月に1回は当社を訪れてくださっています。現場で直接話したほうが意思疎通しやすい内容もあるので、近くにお越しの際に当社に立ち寄っていただいています。

最初は何をどこまでお願いして良いのか分からず、「こんなことまで相談していいのかな?」と思うこともありましたが、定期的にオンラインでコミュニケーションをとる中で、雑談ベースで色々な相談をしたところ、専門外のことにも前向きに取り組んでくださいました。

お二人ともコンサルタントとして独立されていて、中小企業の経営について理解しているので、しっかりと現状をヒアリングし、そこからどのようにしていけば良いかというアドバイスを、筋道立てて教えてくださるのでとても助かっています。

2 商品開発や販路開拓、DXなど、複業人材が幅広い経営課題に伴走

<複業人材の方と一緒に進めてきた取り組みについて教えてください。>

1名の方には、営業を中心に支援していただいています。県外への販路拡大のために、色々と調べて営業先をリストアップしてくださったので、そこに当社で木材加工をして作ったサンプルを送り、メールアプローチを試みたところ、商談につながりました。また、県外企業と当社製品の販売代理店契約の締結も進めました。すでに問い合わせも入ってきていて、現在納品に向けて準備を進めているところです。


さらに、DXについての知見もお持ちなので、営業支援だけでなく、社内の業務整理や業務改善なども相談しました。「在庫管理システムをこういう風にしたい」と要望を伝えたところ、Excelベースでスモールに始める方法や、在庫管理に適した様々なツールを提案してくださり、柔軟に対応していただきました。

もう1名の方には、企画力の高さを活かして、当社の端材を活用した商品開発のアイデアを提案していただきました。すでに販売実績も出ていて、地元の阿南市役所の野球のまち推進課というところに、レーザー加工で木製の賞状を作って送るなど、新しい取り組みを進め、すでに販売実績も出ています。

また、私の壁打ち相手となり、色々とヒアリングしてくださり、その内容を元に経営デザインシートの作成にも取り組んでいただきました。当社の課題を紐解き、わかりやすく整理して、優先順位をつけるなどしてくださったおかげで、解決すべき経営課題が明確になりました。

3 中長期の経営課題解決のために、外部の客観的な視点を活用

<複業人材に仕事をお願いするメリットはどのようなところでしょうか?>

私自身、工場や事務所内で仕事をしていることが多く、あまり営業についてのノウハウがなかったのですが、アプローチの方法次第では、県外にも販路を拡大するチャンスがあることがわかったのは大きいですね。また、経営戦略として優先的に取り組むべき課題がわかりやすくなり、方針も明確になって、経営判断がしやすくなりました。
これだけ変化が激しい世の中なので、目先の短期的な課題だけではなく、少し先を見据えた中長期の経営課題の解決に取り組んでいくために、客観的な視点で現状を整理したり、私の考えを言語化したり、課題を抽出してその解決に向けて動いたりしていただけるので助かっています。良いことも悪いことも全て受け止めて、伴走していただけるのでとてもありがたいですね。

<複業人材の方と上手く仕事を進めるポイントはありますか?>

複業人材の方も、経営課題が見えにくいと動きにくいと思うので、社内の実情をできるだけ包み隠さずに伝えた方が良いと思います。最初はどこまで正直に打ち明けて良いのか難しいかもしれませんが、物理的に距離が離れているからこそ、社内や地元の経営者仲間に話しにくいようなことでも相談できることがあると思います。

4 新たなチャレンジを続け、若い人材が育つ会社に

<西岡さんが今後チャレンジしていきたいことがあれば教えてください。>

今年4月に、新卒採用で初めて2名が入社してくれることになりました。最年長が73歳、最年少でも29歳という組織なので、新卒社員を迎え入れるのは会社として大きなチャレンジです。最新機材の使い方などをどんどん吸収してもらい、一緒に新しいことに取り組み、若い人が育って定着してくれることを期待しています。

そのためにも、積極的に社内のDXに取り組んでいくことが大切だと考えています。例えば、家具を作りたいという相談があった際に、お客さまにヒアリングしながら擦り合わせをして、3Dの図面に落とし込み、完成イメージをオンラインで共有するところまではできるようになりましたが、まだその先には課題があります。

 

現在は3Dの図面を2Dの図面に落とし込み、現場で機械にデータを入力しながら加工作業を進めていますが、その作業中は人も機械も稼働していない状況なので、将来的には3Dの図面データを現場の機械に転送し、データ入力なしで材料の加工ができるところまでDXを進めていきたいです。

<最後に、これから複業人材を活用したいと考えている事業者の皆さんに伝えたいことはありますか?>

これだけネット上に情報が溢れているので、大都市圏と地方都市の情報格差は小さくなっていると思っていましたが、複業人材の方と話していると、まだまだ情報格差があることに気づきました。日頃、たくさんの情報に触れているつもりでも、まだ知らないことも多く、都市部の方が進んでいることはたくさんあるように思います。
地域で複業人材と同じような視点を持った人を探すのはなかなか難しいですし、コンサルティング会社にお願いすればかなりの費用がかかりますが、複業人材の方には比較的手頃な金額で仕事をお願いできるので、費用対効果は十分に見込めると思います。初めは仕事の進め方などに不安があるかも知れませんが、まずはお試しで半年くらいお願いしてみて、徐々に慣れていくのがオススメです。

私も最初は手探りでしたが、1つのプロジェクトで終わりではなく、今も継続的に幅広く支援していただいています。上手な関わり方が見つけられるとメリットは大きいです。あらためて複業人材のお二人にお願いして良かったと思っています。

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

次回インタビューもお楽しみに!

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