副業制度をつくり、自ら実践することで見えてきた 理想的な働き方
2021.03.24 更新
多様な人材確保のために取り入れた副業制度
—濱田さんは勤め先で副業制度の導入に携わったと伺いました。どのような背景で副業制度を取り入れたのでしょう。
私は都内にある建設会社で、企画や広報を担当しています。2017年に会社の役員から「社内に副業制度を導入できないか、検討してみてほしい」という要望があり、プロジェクトを立ち上げました。
建設現場で働く社員が多いため、業界内で副業制度を設けている企業はほとんどありません。しかし、個人の働き方の変化や今後の社会動向を考えると、企業が多様な人材を集めるために、時代にあった制度を積極的に取り入れていくことは重要だと考えています。
建設業で働く人材の平均年齢は年々上がりつつあり、業界全体として人材不足は深刻なので、少しでも多くの方に関心を持ってもらえればという想いもあり、副業制度の導入を進めることになりました。
—実際に副業制度を導入してみて、何か変化はありましたか?
少しずつではありますが、制度を利用する社員は増えていますね。例えば、趣味の写真を活かしてカメラマンとして副業を始めた社員がいます。もともと社内イベントの写真撮影でも活躍していましたが、そのスキルを副業を通してさらに高めています。
そうして仕事で身につけたスキルに限らず、自分の趣味や特技を副業として活かせる機会が増えれば、普段の仕事とは違ったやりがいを感じることができるでしょう。
実は私も制度設計に携わったことで副業に興味を持ち、実践しているのですが、自分のスキルが社外でどれだけ役に立つのか知ることができる良い機会だと感じています。また手触り感のある仕事が多いので、会社の業務とは違う面白さがありますね。
想いへの共感からスタートした地域複業
—濱田さんご自身が複業に取り組むことになったきっかけについて聞かせてください。
現在は、横浜で地域密着の美容室を3店舗経営する会社で複業をしています。私は埼玉県に住んでいて、職場は都内にあるので、複業を始めるまで横浜を訪れる機会はほとんどありませんでした。
横浜の会社で複業に取り組むきっかけになったのが、2019年に参加した複活です。フィールドワークで現在の複業先を訪れた際に、「美容師が生涯働き続けられる地域に根差したお店をつくり、美容業界の働き方を変えていきたい」という社長の想いを聞いて、その話にとても共感を覚えたんです。そうして「この会社のために自分が培ってきた経験を活かせないか」と考えました。
複業先は、社長以外全員がお店で働く美容師の方たちなので、社長が一人で経営管理を担っていました。また、店舗では美容師の皆さんが接客や施術以外にも様々な仕事をされている様子だったので、業務改善で役に立てそうだと思い複業提案書を作成し、マッチングに至りました。
—複業を進めるにあたって、気をつけたことがあれば教えてください。
特に最初は、美容師の皆さんと積極的にコミュニケーションをとるように心がけました。お店の営業中はなかなかお話しできないので、手作りマスクを一緒に作ったり、新規出店の際は店舗造作のDIYを手伝ったりもしましたね。時間を共にしたことで少しずつ距離が縮まり、自然と日々の業務の困りごとについて相談をもらうようになりました。
例えば、毎日おこなう売り上げデータの集計や分析をもう少し効率化したいという話があり、改善に取り組みました。正確かつ早く作業を終えられるよう、エクセルで自動計算できるように工夫した結果、毎日の業務を1日20分程度短縮することができました。他にも店頭で販売している商品の在庫管理の方法を提案するなどして、効果を実感してもらいやすい改善から取り組んでいきました。
美容師の皆さんもコロナでやるべきことが増えて大変な状況なので、少しでも業務負担を減らすことができ、喜んでもらえたのが何よりも嬉しいです。
複業がきっかけで変化した、キャリアについての考え方
—濱田さんは今後、地域とどのような関わり方をしていこうと考えていますか?
私は地方への移住などは考えていませんが、これからも今の企業に勤めながら、地域複業に取り組んでいきたいと考えています。実際に広島や愛媛でおこなわれたプログラムにも参加し、具体的に複業の話が進んでいる企業がいくつかあります。
複業に取り組んでみて思うのは、これまでなかった新しい選択肢が増えたということです。企業の中で一通りの経験を積み、業務が固定化されていくと、場合によっては価値貢献や成長実感を得にくくなることがあります。そんな時、何か新しいチャレンジをするための選択肢としては、転職するか独立するくらいしかありませんでした。
しかし、複業という選択肢が加わることで、会社員を続けながら自分の実力を試したり、会社の仕事では味わえないやりがいを感じられたりしますよね。収入面よりも、そうした選択の幅が広がることが複業の大きな魅力だと思いますし、私にとっては理想的な働き方です。
複業を始める前は、「自分が今よりもっと稼ぐためには、さらに高い成果を出し続けなければいけない」という考えが強く、「どうすれば自分の市場価値を上げてキャリアアップできるか」ということばかりに目が向いていた時期もありましたね。
その頃は地域で複業するとは思ってもいませんでしたが、会社で副業制度の導入に携わり、実際に自分でも複業に取り組んだからこそ気づけたことが多くあります。おそらく複業をしていなければ、今も理想とする働き方には近づけていなかったでしょうね。
ハードワークで仕事をこなす以外にも、人とのつながりややりがいを肌で感じながら収入を得ることができると知りましたし、複活がまさにそのきっかけになったのだと思います。
—複業という選択肢は、着実に広がっていると感じますか。
横浜の美容室では私の他にも複業で働いているメンバーがいます。初めはそれぞれ異なる業務に取り組んでいましたが、徐々に慣れてきたので今はお互いに協力して意見を出し合いながら、プロジェクトのように仕事を進めることもあります。最近は、複業人材だけで事業運営をする会社も少しずつ増えてきている印象です。
一方、個人単位で複業を実践している人はまだそこまで多くない気がします。「何か複業に取り組みたい」という話はよく聞きますが、実際にスキルや特技がどのように役に立つのかわからないと、一歩踏み出すのには少し勇気がいるのかもしれません。それでも、自分の好きな地域や企業を支援したいという想いや意欲さえあれば、たとえ未経験でも副業の機会を得られるのが地域複業の魅力の一つだと感じています。
また、最初は私が複業を始めることに乗り気ではなかった妻も、美容室でしか手に入らない質の良いシャンプーやトリートメントを持って帰ると喜んでくれて、今では良き理解者になりました(笑)。仕事でもプライベートでも思いがけないメリットがあったので、まずは複活のようなプログラムに参加して、複業をスタートしてみるのがおすすめです。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!次回のインタビューもお楽しみに!
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